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医療リスクマネジメント心得帳

医療リスクマネジメント心得帳

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病気なることや、介護が必要になることも人生のリスクである。すべての人に医療リスクマネジメントの考え方が必要になる。

リスクマネジメントの根本は、コミュニケーションである。コミュニケーション・スキルの稚拙さが医療過誤訴訟につながっている可能性がある。

そこで本書では、医療機関に求められているリスクマネジメントのすべてが概念的にも、方法論的にも理解できるようにした。

対象は医療従事者・患者さん。


序文


 近年の患者(消費者)の意識変化は急激である。現象的に,メディアに現れる健康・医学関連の記事・報道の増加が示しているように,消費者の健康に対する関心が急速に高まってきている。


 一方,それに対応すべき医療の世界では,まだ対応準備が完全とはいえない。


 しかしながら,医療訴訟が急速に増えていることへの対応も必要だし,多くの批判に何らかの対応を行わねばならないこともまた事実である。


 現在行われている医療機関におけるリスクマネジメントは,ヒヤリ・ハット報告のようなリスク対応の話題がほとんどである。リスクマネジメントの根本は,コミュニケーションであることさえ意外に知られていない。実際に医療訴訟を起こした患者の71%が医師との関係が不良であったとする報告がある。コミュニケーション・スキルの稚拙さが医療過誤訴訟につながっている可能性があるのである。


 それ以外にも,個人情報保護法の施行,コンプライアンス意識の少なさ,危機管理に対する理解の少なさ,電子カルテ等の電子化に対する対応のまずさ,等の問題が医療機関に山積している。これらの扱いを誤った場合には,その医療機関のみならず患者にとっても大きな損失になることは想像にかたくない。


 旧来の,医療関連のリスクマネジメント関連書籍は,リスクマネジメントの概念から考えればオペレーションのリスクの事後的な対応書がほとんどであった。しかしながら,医療機関がさらされているリスクは,オペレーションのリスクのみではないし,予防的な対応も必要になる。


 本文中で詳しく述べるが,病気になることや,介護が必要になることも人生のリスクである。そう考えれば,すべてのひとに医療リスクマネジメントの考え方が必要ということになり,この書籍は医療従事者相手の書籍ではあるが,その意味では、一般の方や患者さんが読んでもいい内容ともいえる。


 本書では一読していただければ,医療機関に求められているリスクマネジメントのすべてが,概念的にも方法論的にも理解できるように工夫した。逆に,類書が多い,オペレーショナルリスクについてはさほどページを割かなかった。本書では上述した内容以外にも,見過ごされがちな薬剤に関連したリスク,チーム医療に伴うリスク等をも含めて紹介した。皆様の,明日の医療にすこしでもお役に立てれば望外の喜びである。



2006年4月吉日

真野 俊樹



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