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創薬新時代 これからどうなるポスト抗体医薬と次世代ワクチン

創薬新時代 これからどうなるポスト抗体医薬と次世代ワクチン

■本書は医薬品の専門家である著者が“社会の中で医薬品とワクチンがどう有効に使用されたらいいのか”を豊富な情報と資料を基に≪患者・利用者の視点≫で書き上げた書籍である。

■「がん」、「感染症」、「ワクチン」、「糖尿病」、「認知症」、「小児難病とドラッグラグ」、「薬のルーツ」の項目は、歴史・効用・副作用・産業としての目線などで構成され、知りたいことがあっという間にわかる仕組みとなっている。

■著者である石塚稔氏は、薬剤・ワクチンの専門家として長らく企業に勤務し、その後多摩大学や国際医療福祉大学で学んだ。

■日本の医療の歪みに警鐘をならす!


推薦の言葉


「患者の目線で書き上げた“くすりの玉手箱”」



 医薬品はリスク(危険性)とベネフィット(有用性)の二面を持ち,その評価とバランスを間違えば,害にも毒にもなる。免疫細胞療法とがんワクチン療法はどう違うのか。ips細胞(新型万能細胞)とES細胞(胚性幹細胞),再生医療との関係は―医療の高度化,医薬品の革新性によって,国民の期待は限りなく膨らむ半面,過度の情報に振り回されることにもなりかねない。


 本書は薬剤師であると同時に医療,医薬品の専門家である石塚稔氏が豊富な情報と資料,患者の目線で書き上げた“くすりの玉手箱”である。『薬の評価は時とともに変わり,刷新することがあるため』(はじめにより)に,「がん」「感染症」「糖尿病」「認知症」から「薬のルーツ」まで,お好みの引き出し(ページ)を開けば,歴史から効用,副作用まで知りたいことがあっという間に分かる仕組みになっている。製薬会社で長年医療環境担当マネジャーをしていただけに,実に便利な手引書というか“百科事典”である。


 中でも,勉強になったのは「製薬企業,バイオベンチャーの新たな挑戦」,「ポスト抗体医薬に向けた戦略」,そして「先進医療」だ。患者にとっての関心事である「保険外併用療養費制度」も詳しく説明があり,具体的な手術料までを紹介している。「がん重粒子線療法」について,治療費は年間一人当たり280〜300万円。世界の粒子線治療施設は29施設で日本は7施設を占め,今後18施設まで拡大すると聞いては,首をかしげざるを得ない。そこで「粒子線治療施設の建設バブルはまさに現代のバベルの塔に見える」との指摘は,さすがであり,日本の医療の歪みを突く警鐘となっている。随所に「私見」が散らばり,読む者にとっては,心地よい清涼剤になっている。



2011年3月吉日
国際医療福祉大学大学院教授
日本医学ジャーナリスト協会会長
水巻 中正



目次

第1章 がん
第2章 感染症
第3章 糖尿病
第4章 認知症
第5章 小児難病とドラッグラグ
第6章 薬のルーツ(起源)