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ドクターさわやまの「当世健康講座」:亭主を早死にさせる10か条

第5条 "また肥えた"「ゴハンを止めて パンにしな」

肥満で悩んでいる亭主がある日体重を測定して"また肥えた"ってつぶやいています。そこで女房はすかさず「じゃー、ゴハンを止めてパンにしたら」とパン食を勧めています。でもこれってどうなんでしょうね。

ゴハンとパンとでカロリーを問題にするのであれば別でしょうが、私が言いたいことはそれに付随する食品といわゆる「腹持ち」の点なのです。

まず日本人にとってゴハンはあくまでも主食ですよね。しかも従来は主食を主にして副食物である「おかず」は少なく食べていたものです。それも副食は一般には「一汁二菜」とかで。でも現代ではどんなでしょう。副食が種類も量も非常に多くそれもアルコールがつき物で、あと主食である筈のゴハンはごく少ないという方々が多いのです。

一方、ゴハンはパンに比べて「腹持ち」がいいので、いきおい間食や夜食(これが肥満の元凶でもある)をしなくても済ませられる。

ところでパン食はどうなんでしょう。欧米では(日本でも高級レストランがしかり)どちらかと言えばパンは副食で「おかず」が主食のようですね。パンは「おかず」に添えて食べる。しかもパンはゴハンに比べて「腹持ち」が良くない。だからお腹が空きやすい。従って間食や夜食も欲しくなる。 以上のように考えると、従来のように副食物を少なめにしてゴハンを主にした食事にしておれば、パン食に変えるよりも農耕民族である日本人の食生活には適していると思うのです。

日本医師会「健康手帳」より

ここでゴハン食の利点をまとめればこのようになります。

米飯は、低脂肪で食塩を含ます、野菜や海藻類ともよく合い、腹持ちがよく、したがって満腹感と満足感が得られやすい。 ということは、ゴハン食は糖尿病にも高脂血症にも高血圧に対してもパン食に勝るものと私は思っています。 以上からわかることは、「ゴハンを止めてパンにしな」という女房の言い分は、亭主をして超肥満体から今風にいう「メタボリック症候群」(イラスト)に仕向け、果ては心筋梗塞や脳梗塞に至らしめようと企んでいるのです。

ちなみに筆者の食事嗜好は、って?そうですね、私も原則としてゴハン志向ですが、朝食はパンに味噌汁という組み合わせも多いですね。昼食は弁当持ちのため当然ゴハン食ですが、夕飯は家庭では必ずゴハン食ですが、外食の場合には種々雑多です。でも胃袋のキャパシティが小さいのか小食その上に遅食い(slow eater)で、間食も夜食も一切取りません。そのためか生活習慣病には現時点では無縁のようです。