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ドクターさわやまの「当世健康講座」:亭主を早死にさせる10か条

第2条 "夜高い"「風呂に入りな 下がるわよ」

担当医に起床時と就寝前に血圧を測定して持参するように言われているある亭主Bさんが就寝前に血圧を測定したところ180/100mmHgと出ました。そこでBさんは奥さんに「おーい、俺血圧こんなに高いぞー」と。奥さんは答えて「心配ないわよー。風呂に入ればー、下がるわよー」と一蹴しています。

確かに適度の入浴をすれば血圧は入浴直後には下降します。でもその値が早朝まで持続するとは限らないのです。とくにこのBさんの場合には下がっても一過性でしばらくすると再上昇していたことが24時間血圧測定機器によって証明されました。

最近は、高血圧で治療中の人たちは担当医から早朝と就寝前に家庭で血圧を測定しそれを担当医が見ることによって治療の参考にすることが重要になってきました。(第1条参照)

血圧は一般に起床時に比して就寝前は低い値を示します。ところが高血圧のために臓器障害(腎不全や心不全や脳卒中)を有する人々の多くは就寝前や夜間睡眠中にも高値が維持されているのです。逆にいえば夜間睡眠中にも血圧が正常化しないケースは高血圧による臓器障害がよく起こり死亡率も高いのです。

ここで、第2条の落とし穴がどこにあるのか?もうおわかりのことでしょう。

風呂に入ったからといって、低くなった血圧値がいつまで続くかはわからないし、入り方によっては血圧が更に上昇することだってあるのです。

ところで皆さんは入浴とからだの反応に関心をお持ちでしょうか。 元来、日本人は熱めの風呂を好み、入浴といえば全身浴でした。

例えば石川五右衛門が「釜ゆでの刑」に処せられた際に用いられたという鉄製の風呂「五右衛門風呂」で熱めのお湯にどっぷりと浸かっていました。

しかし「五右衛門風呂」は大抵の場合、戸外の「離れ」にあって冬場には寒暖の差に大層悩まされました。

この寒暖の差により、血圧が上昇し血栓が形成され心臓発作や脳梗塞が起こりやすくなります。これでは心身にいい筈はありません。健康保持や疲労回復目的の入浴が裏目に出てしまいます。

イラスト:沢山俊民

風呂湯の温度は出来れば40度を越えないようにし、入り方も全身浴ではなく半身浴ですませるとか、鼻歌混じりで15分以上は湯船に浸かり、洗い場や脱衣場を適温に保つよう心掛けましょう。