ドクターさわやまの「当世健康講座」:亭主を早死にさせる10か条
第6条 “胸痛い”「ゴルフやり過ぎ 湿布貼れ」
最近階段を上ると胸が締め付けられるようになった亭主が、ある日妻に向かってこのように訴えると、それを聞いた妻はすかさず「そりゃーゴルフのやり過ぎじゃ~ないの~!湿布でも貼っておけば」と、症状を至って安直にゴルフのせいにしようとしています。でもこんなことでいいのでしょうか。
ところでこの種の胸痛は狭心症を思わせる重大な痛みと考えられます。皆様方に対しても文章のみで表現するよりもわかりやすいのでイラストで示しましょう。
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- 狭心症を思わせる胸痛の特徴は:
- 1.痛みは胸骨(胸の中心を縦に走る骨)の奥深いところで感じる
- 2.痛みの範囲が広い-ときにはのどや歯、左肩、左腕まで伝わる(イラスト1)
- 3.痛みのために思わず胸を“わしづかみ”にしたくなる(イラスト1)
- 4.動作や作業をしたり、感情がたかぶったりしたときに痛みが起こる(イラスト2a~e)
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(イラスト1)沢山俊民著「患者さんとスタッフのための心臓血管病ABC」日本医学出版 2003 より引用
(イラスト2)沢山俊民著「患者さんとスタッフのための心臓血管病ABC」日本医学出版 2003 より引用
胸痛が上記諸項目の一つでも当てはまれば、それは狭心症や心筋梗塞に関連した「狭心痛」の可能性があります。逆にこの痛みは動作や作業をやめたり、気持ちを落ち着けたりすると5分以内に回復するのも狭心痛の特徴です。
狭心症の痛みは一定していてひどくならなければ(安定型)、心筋梗塞とは違い生命予後は悪くないのです。しかし、症状が起こる原因とメカニズムは心筋梗塞と共通点が多いので、なるべく早く専門医を受診する必要があります。
なお、狭心症で生じる痛みは私自身も体験していませんので「いわく言いがたし」なのです。でも疑似体験をすることは可能です。(イラスト3)
血圧測定用マンシェットを腕に巻いてその圧を200mmHg前後まで上げてしばらく保っておくと狭心痛と同様な苦痛(前腕の虚血状態)を体験することができます。
(イラスト3)沢山俊民著「患者さんとスタッフのための心臓血管病ABC」日本医学出版 2003 より引用
ともかく妻は、亭主の症状の「事の重大さ」に気づいてはいるものの、亭主の言い分をたかがゴルフのやりすぎによる痛みで済まそうと企んでいるのです。
世の亭主の皆さん方!上記の狭心症症状を十分理解された上で、くれぐれも早死にさせられないようご注意いただきたいものです。