倉敷開業物語
- 沢山俊民(さわやま としたみ)氏1934年兵庫県生まれ。
- 59年京都府立医科大学卒業。64年同大学院修了。米国留学後、70年から川崎医科大学に勤務。
- 75年に内科学教授に就任。
- 99年5月、さわやまクリニックを開業。
「倉敷開業物語第2回」―さわやまクリニック院長 沢山俊民―川崎医科大学名誉教授
2.開業後の取り組み
(1)実行に移した後の段階で
1.良きスタッフに恵まれている
スタッフは当然公募にした。しかも全人的医療指向の持ち主が適切と思われたので、私が代表世話人を拝命している「ホリスティック岡山」の会員400名に呼び掛けてみた。すると面接の希望者が続々と現れた。
その結果、午前の部(循環器診療)には、フルタイマーとして経験の深い受付秘書1名と、大病院に勤務歴が長いパートタイマーとして看護婦1名が選ばれた。前者は受付事務と保険請求事務に加えて午後の部「さわやかクラブ」の仕事と月刊ニュースの編集を担当し、後者は採血はもとより運動負荷心電図からホルター心電図検査までこなしている。一方、午後の部(自然診療)には、ヨーガ、整体、気功、カウンセリング、オイルマッサージ、アロマセラピーなどを施すセラピスト達が続々と希望してきた。
2.妻の[内助の功]が発揮されている
妻は午前午後を通じてクリニックへ日参し、受付事務とくに経理をはじめ、外回りの仕事に自称「事務長」としての役割を担ってくれている。この仕事については私の及ばない部門であり、良きパートナーシップが発揮されている。
3.内外の環境が好評である
来院した方々は異口同音に、「診療所とは思えないたたずまいと間取りだ、“借景”となっている池と森林を見ているとリラックスできる、周囲が静寂である、木造りの香りが良い、大ホールが素敵で天井が高いから開放感がある圧迫感がない、備長炭が埋められているので気の高まりを感じる、床暖房が気持ちいい」などの感想を頂戴している。
4.サービス面での気配り
一つにMy Patiend is My Teacher 「顧客(患者)が先生」を貫くようにしている。二つに、客に問題点を指摘してもらうようにしている。そのほか会員制の「さわやかクラブ」では、日曜に午後の各種イベント(私による勉強会や音楽会)を開催している。
5.何とか「赤」は解消されている
支出が少ない分、収入が多くなくても「赤」が出ない程度には運営されている。とはいえ私は年金生活者である。
6.循環器患者の集客状況は
大学の外来から引き続き来院しておられる方々以外に、紹介もされることなら、新患は「口コミ」が少なくない。中でも医療不信に陥っている人達が本人の希望で門戸を叩くケースも増えている。その結果、新患の予約は2,3週間先になることもある。
(1)実行に移した後の問題点とその解決策は
1.午後の集客状況には不満がある
午後の自然療法は自費診療でもあってか、集客状況に不満がある。これについては「口コミ」を待ち続ける積りである。
2.用心に不安がある
「通い」のため夜間や休日は用心に不安がある。一方で、隣家が友人宅なので安心でもある。